廃墟で長年眠っていた『アイ』と名乗る少女。
その正体は、人間と同じように汎用的なタスク処理・学習・意思決定ができる高機能なAI、汎用人工知能『AGI(Artificial General Intelligence)』である。
みんなを笑顔にするため、アイは失ってしまった歌を取り戻そうとする。
灰色な終末世界を彩る唯一の存在として、Vstar(バーチャルライバー)は人気を博している。
中でもVstar『リンカ』は、オルタで最も人気の高いアイドルVstarである。
エンタメ的な配信を行う一方で、不安定な都市を統制するためのプロパガンダとしても利用されている。
選ばれた人類だけが暮らす都市国家オルタは、思想統制による強制的な団結と競争激化によって生まれる技術の躍進によってのみ人類が終末世界を乗り越えられると考え、都合の悪い歴史は隠ぺいしている。
都市に唯一ある図書館、セキュリティーに守られたそのサーバーの最奥に真実が眠っている。
「弱者切り捨て」の社会思想に反発するメンバーで形成されたレジスタンス。
リーダーとして活動するVstarの『マキ』。
そのVstarの姿はミライが知る人物によく似ているが……?
アイは実態のないAGIだが、綺麗好きで、水不足の中でも毎日のシャワーを欠かさない。
毛先濡れ機能が搭載されており、入浴後の髪はまるで濡れているように見える。
アイの記憶を取り戻すため、レジスタンスと共闘することにしたミライ。
マキが使役するAGI『ジャミたん』は一見愛くるしいペットのようだが、人間に対しての共感能力に乏しく口が悪い。
アイのように感情表現豊かで、人に対しての共感性が高いAGIは特異である。
Vstarはエンタメである以外に投資の対象になっている。
Vstarの価値は時価総額として『Vitcoin』という単位で公表され、日々の配信内容によって変動し続ける。
トップを争うふたりのVstarにはVS(ヴァーサス)と呼ばれる直接対決の場が用意され、多額の掛け金が発生。
オルタの経済成長を支える重要な催事であるが、敗者にBetした投資家の損失は大きく、社会問題にもなっている。
度重なる戦争は資源枯渇を早めた。
既存国家は力を失い、大資本の世界的企業10社がそれぞれに『都市国家』として独立を宣言。
そのうちの1社、『オルタ』は東京に都市国家を形成。
企業間では冷戦状態が続いている。
『Vision Eye』は、高性能なAR体験を可能としたオルタの世界的ヒット商品で、都市での生活必需品。
視神経を通して脳とつながり、いつでもどこでも目の前にVstarのライブ配信を映すことができる他、メッセージのやりとり等も可能。
一般的にはゴーグル型が多いが、コンパクトなコンタクトレンズ仕様のハイスペックモデルも存在。
ミライは左目に義眼型のVision Eyeを埋め込んでいるが、Vstarに興味がないため故障後放置している。
人々の無限の欲望を叶えようとした、なれの果ての終末世界。
人類は壁の中と外に分けられ、有限な資源を壁の中の人間だけが享受し豊かに暮らしている。
都市にへばりつくように存在する、選ばれなかった側の人類の終着点。
非常に貧しく、路上で死んでいる者も珍しくない。
健康な身体と人並みの知力があれば、時折都市からこぼれてくる仕事にありつくことができ、その日暮らしで生きていくことはできる。
世界的企業『オルタ』が作り上げた最先端都市。
現在の東京山手線に沿った領地を壁で囲み、その内側で発展した都市。
人々はARゴーグル『Vision Eye』を通して、コンクリートビルの上に鮮やかな風景を見ている。
ミライとアイが迷い込んだリンカのライブ会場。
煌びやかなステージは実際には存在せず、ARで見ている映像に過ぎない。
地下深く作られた旧地下鉄路線は、戦火を経ても一部が機能している。
一部区間は鉄道も運行されているが、とある輸送の手段にのみ秘密裏に利用されており、この情報を知るのもオルタ上層部のみである。
地下鉄入り口は封鎖されている他、AIによるパトロールがされており通行は困難。
孤児院にある礼拝堂。
戦争や飢饉によって生まれた孤児を収容していた。
現在は都市国家による人類の選別が進行し、孤児はスラムへ送られるようになり閉園。
地下には謎の空間があると言う噂がある。